ケロイド、肥厚性瘢痕を改善を目的とした
ケナコルト(ステロイド)注射。
日本人の10%がケロイド体質と言われています。
久米井医院では、患部の炎症を抑え、痛みや痒みなどの症状を和らげるほか、赤く盛り上がった外見を白く、目立ちにくい状態にする治療を行います。
傷跡の中でもケロイドや肥厚性瘢痕は、原則、保険による治療が可能です(一部自費治療もあり)。
ただし、症状の改善には長い時間がかかり、最低でも半年、患者さんによっては1~2年かかることも多いことから、焦らずに根気よく治療を続けていくことが大切です。
ケロイド、肥厚性瘢痕とは
ケロイドと肥厚性瘢痕は互いに似ていますが、異なる疾患と考えられています。
肥厚性瘢痕はもともと存在したきずあとの範囲を越えて拡大することはなく、その部位で隆起・硬化します。
ケロイドとは、外傷や、火傷、ニキビをきっかけに、傷あとが大きく盛り上がったもので、少しずつ拡大してゆくのが特徴です。
肥厚性瘢痕は、長い時間をかけて自然に縮小することがありますが、ケロイドは徐々に拡大し続け、自然に治ることはほとんどありません。
見た目のほか、痛みや痒み、引きつれ感などの症状が問題となります。
病因について
傷が治る過程において、炎症が持続し、線維芽細胞がコラーゲンを過剰に産生することにより発症します。
日本人の10%がケロイド体質と言われており、体質的になりやすい方がおられます(ケロイド体質)。また部位によっても出来やすい部位があり、上口唇や前胸部や肩甲部など力が加わりやすい部位に発症しやすいです。
ケロイドになりやすい部位
耳、顎部、前胸部、肩部、膝部
ケロイド治療について
肥厚性瘢痕やケロイドの原因は不明ですが、外傷や手術後の皮膚にかかる緊張を減じる工夫やアレルギーを抑える治療を早期に開始することによって、発生をある程度、予防することができます。
キズが硬く盛り上がりつつある場合には、外来で早めに後述のテープや注射を開始することによって、進行を最小限に留めるための治療を行うこともあります。
ステロイド薬の局所注射
ステロイド薬を瘢痕の中へ直接注射する治療法があります。
通常3~4週間に1回の頻度で外来へ通院してもらい注射を行います。肥厚性瘢痕の多くは1~2回の注射によってかゆみや痛みが軽減し、病変が平坦化します。
周囲へ拡大する傾向のある活発なケロイドの場合には複数回の注射を必要としますが、徐々に平坦化する場合がほとんどです。
肥厚性瘢痕やケロイドの皮膚は知覚が過敏になっていることが多く、また硬い組織へ注射を行うため、かなりの痛みを伴う治療です。
製剤 | ケナコルト(ステロイド剤)は、トリアムシノロンアセトニドというステロイド剤を含む製剤で、ステロイド剤の抗炎症作用とコラーゲン産生を抑える目的でケロイドに注射を行います。 |
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施術時間 | 5分〜10分ほど |
痛み | ケナコルトを病変部に直接注射しますが、組織が固い分、通常の予防接種などよりも痛みが強いことが多いです。 |
来院目安 | 4週間に1度、3〜6回の通院が目安になります。 |
注意事項 | 瘢痕部分に薬を直接注入するため、高い効果が期待できますが、効果が強すぎると傷跡が逆に凹んでしまったり、周囲の皮膚が薄くなって毛細血管が拡張したりする場合もあります。 妊娠中、授乳中の患者様、糖尿病をお持ちの患者様、高血圧をお持ちの方、感染症をお持ちの患者様、ケナコルトに対する過敏症をお持ちの患者様は予め医師にご相談ください。 |